ビザジャーナル
2025-09-04
短期滞在からの在留資格変更は原則できません!その理由と注意点

Q. 短期滞在で来日している海外子会社の社員を、そのまま雇用して「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に変更できますか?
A. 原則としてできません。
短期滞在から就労可能な在留資格(例:「技術・人文知識・国際業務」)への変更は、入管法上、特別な事情がない限り認められません。
なぜ認められないのか?
短期滞在は、観光・親族訪問・会議参加など短期間の活動を目的とした在留資格です。
そのため、入管法第20条の運用では、短期滞在から中長期の在留資格(就労・留学・定住者など)への変更は「人道上その他の特別な事情」がある場合を除き不可とされれています。
この制限は、不正入国や在留資格の不正利用を防ぐためのもので、海外から正規の査証手続を経て入国することを基本とする日本の制度の根幹です。
「特別な事情」とは?
例外として変更が認められる場合がありますが、極めて限定的です。
例えば、
- 災害や国際情勢の影響で帰国便が長期にわたりない、または渡航が危険な場合
- 日本人や永住者の配偶者・子など、家族との生活維持が必要な場合
- 医療上の特別な理由で、日本に継続滞在する必要がある場合
就労目的だけではほぼ認められませんし、上記理由に該当しても必ず認められるわけではありません。あくまで特例措置なのです。
実務上どう対応すべきか
短期滞在で来日している方を採用したい場合は、以下の流れが一般的です。
- 一度帰国してもらう
短期滞在期間終了前に帰国します。 - 現地で査証(ビザ)を取得
- 在留資格認定証明書交付申請を日本側(企業)が行い、証明書を海外の候補者へ送付
- 候補者は現地の日本大使館・領事館で就労ビザの申請を行う
- 就労ビザで再入国し、勤務開始
※「在留資格認定証明書交付申請」後に短期滞在で来日し、日本滞在中に認定証明書が交付されたケースで、短期滞在からの変更が許可された事例もあります。ただし、これはあくまで入管の裁量による例外的な取り扱いであり、同じ状況でも必ず許可されるわけではないことにくれぐれもご留意ください。
人事担当者が押さえるべきポイント
- 採用計画の段階で、在留資格取得までのタイムスケジュールを立てる
- 「短期滞在から就労の在留資格への切り替えはできない」ことを理解、候補者のスケジュールにも反映
- 海外在住者の場合、在留資格認定証明書の発行に1〜3か月かかることがあるため、採用スケジュールに余裕を持たせる
💡 まとめ
短期滞在で来日している外国人の在留資格を就労の在留資格に変更することは原則できません。
例外は人道上など特別な事情がある場合のみで、就労のためには一度出国し、海外から正規の手続を経てビザを取得して再入国する必要があります。
採用計画の初期段階で必ずスケジュールを立てることが重要です。