ビザジャーナル
2025-02-13
入国前結核スクリーニング制度開始へ:人事担当者が知っておくべきポイント
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Q:外国籍の人材を海外から招聘する際に、「入国前結核スクリーニング」が必要になると聞きました。
いつから、どのような手続きが必要になるのでしょうか?
A:今年度中に一部国籍の方を対象とした入国前結核スクリーニング制度が段階的に開始されます。
制度の背景・概要
日本では、新型コロナウイルス感染症に伴う水際対策終了後、外国籍の結核患者数が再び増加傾向にあります。
その対策として、日本入国前に、結核の非発病を証明する「結核非発病証明書」の提出が、特定の国籍の方を対象に義務付けられることになりました。
- この証明書は、日本政府が指定する海外の医療機関(「指定健診医療機関」)で検査を受け、発行してもらう必要があります。
- 中長期在留者と特定活動告示第53号及び第54号(デジタルノマド及びその配偶者・子)の在留資格認定証明書交付申請時に必要となります。
- 証明書の有効期間は、胸部レントゲン撮影日から180日間です。
対象国と開始時期
現時点では、対象となる6か国のうち、フィリピン・ネパール・ベトナムの3か国のスケジュールが公表されています。インドネシア・ミャンマー・中国は未定です。
- フィリピン・ネパール
- 2025年(令和7年)3月24日:指定健診医療機関での結核検診受付が開始
- 2025年(令和7年)6月23日:在留資格認定証明書交付申請において「結核非発病証明書」提出が義務化
- ベトナム
- 2025年(令和7年)5月26日:指定健診医療機関での結核検診受付が開始
- 2025年(令和7年)9月1日:在留資格認定証明書交付申請において「結核非発病証明書」提出が義務化
どのような手続きが必要?
- 対象者の確認
- フィリピン・ベトナム・インドネシア・ネパール・ミャンマー・中国国籍の方(再入国許可を持っている場合は除く)。
- ただし、在留資格によっては既に入国前の結核検査が義務付けられている(特定技能など)場合があり、そのような方は当面対象外です。
- また、現在の滞在国が対象国以外で、その滞在許可証などで確認が取れる場合も対象から外れます。
- 指定健診医療機関での検診受診
- 厚生労働省が2025年1月に公開予定の特設サイト等で、国ごとの「指定健診医療機関」が公表されます。
- 該当の医療機関にて胸部レントゲン等の検査を受け、「結核非発病証明書」を取得する必要があります。
- 在留資格認定証明書交付申請時に提出
- 証明書の有効期限(検査日から180日)内に、在留資格認定証明書の申請書とともに入管に提出。
- すでに「結核非発病証明書」を提出して在留資格認定証明書が交付された方は、査証申請時には改めて提出する必要はありません。
人事担当者が押さえておきたいポイント
- 手続きの導入時期を確認する
- フィリピン・ネパールは2025年6月23日、ベトナムは2025年9月1日申請分から証明書提出が必要になります。
- インドネシア・ミャンマー・中国については、今後のアナウンスをチェックしてください。
- 書類準備のタイミングに注意
- 証明書の有効期限はレントゲン撮影から180日なので、応募者の日本入国スケジュールに合わせて逆算し、受診を早めに手配しましょう。
- 対象外の在留資格もある
- 特定技能、技能実習等、一部の資格では既に入国前の健康診断(結核検査等)が義務付けられています。これらの在留資格では新たな「結核非発病証明書」は当面必要ありません。
まとめ
今年度中に導入される「入国前結核スクリーニング」は、対象国から新たに中長期在留を目的に来日する方の健康安全を担保する重要な制度です。
人事担当の皆さまにおかれましては、いつから制度が開始されるのか、どの在留資格で必要になるのかを正しく理解し、採用予定の候補者に早めのアナウンスを行うことが大切です。
最新情報は、出入国在留管理庁や厚生労働省のWebサイトを必ずチェックし、不明点があれば行政機関に問い合わせるなど、余裕をもった対応を心掛けてください。