ビザジャーナル

2025-04-03

特定技能制度と地域共生施策の連携


昨今、特定技能制度の対象分野拡大や受入れ見込み数の増加に伴い、地域における共生社会の実現が大きなテーマとなっています。政府は、特定技能所属機関に対し、地方公共団体から共生施策に関する協力要請があった場合、必要な対応を行うことを求めています。
本記事では、特定技能人材を雇用している、または雇用を検討している企業の人事担当者の皆様が、「企業にどのような対応が求められているのか」「今後の手続きの流れはどうなるのか」について理解を深めるためのポイントを解説します。

地域共生施策に関する連携の趣旨

政府は、2024年3月29日の閣議決定を背景に、以下のような施策を推進しています。

  • 対象分野の拡大と受入れ見込み数の再設定
    特定技能の対象分野が従来の12分野から16分野に拡大され、1号特定技能外国人の向こう5年間の受入れ見込み数も大幅に引き上げられました。
  • 共生社会の実現に向けた責務の明確化
    特定技能所属機関は、地域社会との共生を進めるため、地方公共団体からの協力要請に応じる責務があると定められています。

協力確認書の提出について

  • 初めて特定技能外国人を受け入れる場合
    特定技能雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う前に、受け入れる外国人が活動する事業所の所在地及び住居地が属する市区町村へ提出します。
  • 既に受け入れている場合
    施行期日(2025年4月1日)以降、初めて在留資格変更許可申請または在留期間更新許可申請を行う際に提出が必要です。

なお、協力確認書は一度提出すれば、同一の市区町村に対して再度提出する必要はありませんが、事業所の所在地や住居地、または連絡先に変更があった場合は再提出が求められます。

在留諸申請での共生施策への対応

特定技能外国人に係る在留諸申請時、所属機関は以下の事項を申告する必要があります。

  • 共生施策に対する協力の申告
    外国人が活動する事業所の所在地及び住居地が属する地方公共団体が実施する共生施策(例えば、各種行政サービス、交通・ゴミ出しルール、医療・防災対策、日本語教室など)について、必要な協力を行う旨を申告します。

この申告は、申請時における適切な支援体制の整備をアピールする上でも重要なポイントです。

1号特定技能外国人支援計画の作成と実施

特定技能所属機関は、支援計画の作成・実施にあたり、以下の点に留意する必要があります。

  • 共生施策の確認
    地方公共団体が実施する共生施策(各自治体のホームページ等で確認可能)を踏まえた上で、外国人支援の具体的な計画を策定する必要があります。
  • 適切な支援の実施
    単に書面上の計画を作成するだけでなく、実際に地域の共生施策と連携した支援活動を行い、外国人が安心して活動できる環境を整えることが求められます。

地方公共団体からの協力要請と対応のポイント

具体的な協力要請の例
  • 法的根拠に基づく協力
    条例等に基づくアンケート調査やヒアリングへの協力、または各種行政情報の提供が求められる場合があります。
  • 協力の範囲
    地域の交通ルール、ゴミ出し、医療・防災、地域イベント、日本語教室など、共生社会の実現に必要な施策への協力が想定されています。
注意すべき点
  • 過大な負担の回避
    地方公共団体以外の機関への協力要請や、明らかに負担が大きすぎる場合には、適切な対応や相談が必要です。
  • 指導・助言の可能性
    地方出入国在留管理局は、協力要請に応じない所属機関に対して、指導や助言を行う場合があります。これに備え、事前に体制を整えておくことが望ましいです。

企業の人事担当者としての対応策

  1. 協力確認書の準備
    初回の受け入れ時や申請時に必要な書類として、協力確認書の提出をスムーズに行えるよう、事前に必要な情報を整理しておきましょう。
  2. 社内体制の整備
    特定技能外国人の受入れに際して、地域共生施策に対応するための体制(担当者の明確化、連絡先の更新管理など)を整備してください。
  3. 最新情報の確認
    各地方公共団体の共生施策や出入国在留管理庁の最新情報を、定期的に確認し、制度変更や新たな要請に迅速に対応できるようにしましょう。

まとめ

特定技能制度における地域共生施策の連携は、単に行政手続き上の義務に留まらず、外国人材が地域で安心して働き、生活できる環境作りに直結しています。
企業の人事担当者としては、協力確認書の提出や在留申請時の対応、さらに支援計画の策定など、各種手続きや体制整備に迅速かつ適切に対応することが求められます。今後、地方公共団体からの協力要請にも柔軟に対応し、地域とともに共生社会の実現を目指す取り組みを進めましょう。

本記事を通じて、地域共生施策に関する連携の意義や、具体的な対応策について理解を深めていただければ幸いです。
最新の情報や手続きについては、出入国在留管理庁の公式サイトや各自治体の案内を随時ご確認ください。
また、弊社でもご相談を承っています。ぜひお気軽にご連絡ください。