ビザジャーナル
2024-11-21
在留資格のない外国人雇用がもたらすリスクと企業の責任:法令遵守の重要性
昨今、日本の多くの企業が人手不足に直面し、外国人労働者の雇用に活路を見出そうとしています。
しかし、在留資格を有していない外国人を雇用することは重大な法令違反であり、企業と経営者に厳しい罰則が科されるリスクがあります。
先日、茨城県鉾田市の食品加工会社において、在留資格を持たない外国人を雇用したとして、元社長と法人に執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。このように、在留資格確認の重要性と法令の遵守は、企業の経営者・人事担当者にとって非常に重要な事項です。
本記事では、このような事態を回避するために必要な対策について解説します。
違法雇用による罰則のリスク
在留資格のない外国人を雇用した場合、経営者、さらには企業自体にも以下のような法的責任が問われます。
- 個人の罰則:違法雇用に関与した経営者などに対して、懲役や罰金が科される可能性があります。今回の事例では、元社長に対して懲役1年(執行猶予3年)、罰金60万円が科されました。
- 法人の罰則:企業にも罰金が科される場合があります。今回の事例でも、会社に60万円の罰金が言い渡されています。
人事担当者および経営者の責任
「人手不足」や「外国人労働者の紹介」といった理由であっても、在留資格を確認せずに雇用を決定することは法的に許されません。
この事件の判決では、経営者が「紹介された外国人の旅券などを確認せずに雇用した」ことが問題視されました。企業は、適切な雇用管理責任を果たさなければならず、在留資格確認の怠りは法的なリスクにつながります。
在留資格確認のために必要なステップ
外国人労働者を雇用する際には、次の手順で確実に在留資格の確認を行う必要があります。
- 在留カードの確認:雇用前に、在留カードに記載された在留資格、在留期間、就労可能な職種を確認してください。
- パスポートの確認:在留カードと併せてパスポートも確認し、在留カードの記載内容とパスポートの記載内容とに矛盾がないか確認します。
- 雇用予定の職務内容との適合性:外国人が就労可能な職種は在留資格によって異なります。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人は、特定の業務にしか従事できません。
職務内容が在留資格と適合しているかを必ず事前に確認してください。
違法雇用による企業リスク
在留資格のない外国人の雇用は、企業に大きなリスクを与えます。
- 社会的信用の喪失:違法雇用が発覚すれば、企業の信頼性が大きく損なわれ、取引先や顧客からの信頼も失いかねません。
- 法的リスクの増加:罰金や懲役などの法的処分が科されることで、経営や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
- 労働トラブルの発生:不適切な雇用管理は、労働基準法違反の指導を受けるリスクを高めるため、労働トラブルの原因にもなります。
違法雇用を防止するための具体的な対策
企業が違法雇用を未然に防ぎ、法令遵守を徹底するための対策を整備することが重要です。
- 人事担当者への教育と研修:外国人雇用に関する法令や手続きを理解し、在留資格確認・管理を徹底できるように、社内教育や研修を実施します。
- 外部専門家の活用:法令対応に不安がある場合は、行政書士のアドバイスを受けることが有効です。
- 定期的な雇用監査の実施:採用手続きや在留資格の確認手順が適切に行われているかを定期的にチェックし、不備を早期に是正できる体制を構築します。
まとめ
在留資格のない外国人の雇用は、企業や経営者にとって重大な法的リスクをもたらします。
人手不足の中であっても、企業は法令を遵守し、適切な採用手続きを行う責任があります。
今回の事例を踏まえ、貴社においても改めて在留資格確認の徹底を図り、健全な労務管理体制を整えることが求められます。
外国人雇用や管理に不安を覚える場合には、ぜひ、弊社にお気軽にお問い合わせください。