ビザジャーナル

2024-10-31

経団連の2024年規制改革要望:外国人雇用制度の見直しと緩和を求める


経団連が公表した2024年の規制改革要望の中でも特に「人の活躍」の項目では、外国人労働者の活用に関する規制緩和の要請が大きな割合を占めています。
特に、「特定技能」に関する在留資格制度の見直しに対する提案は、人手不足に悩む企業にとって大きな影響を与える可能性があります。ここでは、特に注目すべき規制緩和要請をいくつか紹介します。

在留資格「研修」における実務研修の緩和

日本の鉄道やインフラ技術の輸出を促進するために、経団連は在留資格「研修」における「実務研修」の要件を緩和することを求めています。
現在は、主にODA対象国からの研修生が対象となり、民間企業による実務研修は制限されています。
しかし、近年のODA卒業国や東南アジア諸国からの有償研修に対するニーズが高まっており、フランスや中国のように技術輸出を進める他国との競争に遅れを取る可能性が懸念されています。

提案内容としては、民間企業主導の実務研修を一定の条件下で認めることで、日本企業が持つ高度な技術を海外に伝え、これにより、国際社会における日本の競争力向上に寄与するというものです。

在留資格「特定技能」の清掃分野での適用拡大

在留資格「特定技能」に関しても、ビルクリーニング業務の適用範囲の拡大が提案されています。
現在、特定技能外国人が従事できるのはオフィスビルやホテルなどの「特定建築物」(建築物衛生法に基づくもの)の清掃業務に限られていますが、住宅における清掃サービスのニーズが増加している現状を踏まえ、住宅専有部分の清掃業務にも外国人労働者を認めるよう求めています。

この改革が実現すれば、清掃業務における外国人労働者の活用範囲が拡大し、人手不足の解消と業務の効率化に貢献する可能性があります。

航空・鉄道分野における「在籍型出向」の認可

航空および鉄道分野での在籍型出向制度の認可も提案されています。
本年から、航空分野・鉄道分野も特定技能の対象産業分野となりましたが、現状では直接雇用しか認められていません。
しかし、拡大する航空需要や鉄道保守分野の深刻な人手不足に対応するため、在籍型出向制度を認めることで、技術の習得や業務の効率化を図ることができるとしています。

外国人雇用状況の届出一括申請の提案

さらに、外国人雇用状況の届出に関する負担軽減も提案されています。
現行制度では、アルバイト従業員等の雇用保険に加入しない外国人労働者を雇用する場合、雇用する事業所ごとにハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行う必要がありますが、経団連はこれを本社所在地のハローワークへ一括申請できるようにすることを求めています。
この提案が採用されれば、全国に支店や店舗を持つ企業の管理コストが大幅に削減されるでしょう。

経団連の要望は、政府による規制改革の方向性に影響を与える可能性があります。
特に、中小企業や人事担当者にとって、外国人労働者の活用を促進する規制緩和は重要な課題です。今回の提案は、外国人労働者を効率的に受け入れ、企業の成長や競争力向上に資するものです。
今後の動向を注視し、自社の外国人雇用戦略を早めに見直すことが、今後のビジネス拡大において有効な手段となるでしょう。