日本における永住許可は、多くの外国人が目指す在留資格の一つです。しかし、この制度において、一部の悪質な永住者が問題視されるケースが発生しています。R6年に決定された改正入管法では、永住許可制度の適正化を図り、適切に在留する大多数の永住者に対する不当な偏見を防ぐための措置が導入されます。
本記事では、その背景と具体的な内容について解説します。
1. 永住許可制度の趣旨
「永住者」の在留資格は、活動や在留期間に制限がないことが最大の特徴です。永住許可を受けるためには、以下のような一定の要件を満たす必要があります。
- 素行が善良であること
- 独立して生計を営むことができること
- 日本国の利益に合致していること(10年以上の在留、公的義務の履行など)
しかし、永住許可を受けた後は在留審査(在留期間の更新など)が行われないため、許可時に満たしていた要件がその後満たされなくなるケースが見られます。これにより、悪質な永住者が引き続き日本に在留し続ける問題が生じています。
2. 適正化に向けた新たな措置
今回の改正では、在留状況が良好と評価できない(入管法上の義務違反、故意に公租公課の支払をしない、特定の刑罰法令に違反した)一部の永住者に対し、永住許可を取り消すか、他の在留資格へ変更するための措置が導入されます。これにより、適切に在留している大多数の永住者への不当な偏見が生じるのを防ぐことが狙いです。
具体的には、以下のような対応措置が設けられています。
3. 具体的な対応措置
- 永住者の在留資格のまま引き続き在留
- 慎重な調査の結果、問題がないと判断された場合、従来通り永住者として在留を続けることが可能です。
- 他の在留資格(定住者など)への変更
- 調査の結果、取消事由に該当する場合と判断された場合であっても、対象者が引き続き日本に在留することが適当でないと認める場合を除き、法務大臣の職権により、永住資格から定住者など他の在留資格への変更が許可されるとされています。
- 永住許可の取消し
- 上記の要件を満たさない場合で、引き続き日本に在留することが適当でないと判断された場合、永住許可が取り消されます。ただし、取消し後も再度永住許可を受けることが可能な場合もあります。
※引き続き日本に在留することが適当でない場合とは、例えば、今後も公租公課の支払をする意思がないことが明らかな場合や犯罪傾向が進んでいる場合等が該当します。
- 上記の要件を満たさない場合で、引き続き日本に在留することが適当でないと判断された場合、永住許可が取り消されます。ただし、取消し後も再度永住許可を受けることが可能な場合もあります。
4. 永住許可制度の適正化が目指すもの
今回の制度適正化は、法を遵守し、社会に貢献する大多数の永住者を保護するためのものであり、一部の悪質な永住者による不正行為がもたらす不当な偏見を防ぐことが目的です。
結論
永住許可制度の適正化により、日本社会における公平性と安全性がさらに強化されることが期待されます。永住者として日本での生活を送る皆様は、法を遵守し、社会に貢献する姿勢を維持し続けることが重要です。制度変更に伴う詳細な手続きについては、出入国在留管理庁や市町村窓口で最新の情報を確認し、適切に対応するよう心掛けましょう。