スタートアップビザを活用した外国人の起業支援

日本政府は近年、スタートアップを促進するための多くの施策を実施しており、特に外国人起業家に対する支援策とした「スタートアップビザ」(外国人起業活動促進事業)の導入が注目されています。スタートアップビザは、外国人が日本で起業する際の障壁を取り除くために設けられた特例措置であり、これを利用することで、通常よりもスムーズに在留資格を得ることが可能です。以下では、スタートアップビザの具体的な内容や申請方法について説明します。

スタートアップビザとは?

スタートアップビザとは、国家戦略特区の一環として設けられた外国人の起業活動を支援するための制度です。通常、外国人が日本で起業するには「経営・管理」という在留資格が必要ですが、この資格を取得するためには、既にオフィスや資金を確保していることが条件とされています。しかし、スタートアップビザは、所定の地方自治体・民間企業が実施する起業支援を受けることで、起業準備段階で最長1年間、日本に滞在しながら事業を立ち上げることができる特例措置です(在留資格「特定活動」が付与される)。

スタートアップビザのメリット

  • 起業準備期間の確保:通常の在留資格(「経営・管理」)取得前に、日本国内でビジネスの計画や準備を進めることができます。
  • 地方自治体の支援:スタートアップビザは、所定の地方自治体・民間企業の支援を受けることを前提としているため、地域密着型のサポートを受けることが可能です。特に、各自治体は外国人起業家を支援するためのプログラムやネットワーキングの機会を提供しています。
  • 柔軟な資金要件:初期段階では、資本金や事業規模に対する要件が緩和されており、より柔軟にビジネスを始めることができます。

スタートアップビザの申請方法

スタートアップビザを取得するためには、まず所定の地方自治体・民間企業にビジネスプランを提出し、審査を通過する必要があります。審査を通過した場合、「確認証明書」が発行されるため、これをもって入国管理庁に申請を行います。

スタートアップビザを利用する際の注意点

スタートアップビザを活用する際には、いくつかの注意点があります。まず、スタートアップビザの期間は最長でも1年間であり、その後は正式な「経営・管理」の在留資格に変更する必要があります。また、地方自治体・民間企業ごとにサポート内容や審査基準が異なるため、事前にしっかりと確認することが重要です。

まとめ

日本で起業を考えている外国人にとって、スタートアップビザは大きな助けとなる制度です。このビザを利用することで、初期段階の準備を整えながら、日本でのビジネス展開をスムーズに進めることができます。留学生や若い起業家にとって、この制度は特に魅力的であり、日本での起業を後押しする重要なツールとなるでしょう。

本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置について(要件の一部変更)

ミャンマー人に対する緊急避難措置の背景と対応

2021年2月1日のミャンマー軍事クーデターを原因とするミャンマー国内の情勢混乱を理由に、日本政府は、日本に滞在するミャンマー人に対する緊急避難措置を導入しました。
この措置により、現在保有する在留資格の活動が終了したものの引き続き日本滞在を希望するミャンマー人に対しては、ミャンマーの情勢が安定するまでの間に限り、他の在留資格への変更(特定活動)や就労の許可が認められています。
しかし、制度の誤用・濫用が散見されることから、2024年10月1日より、この措置に関する取り扱いが一部変更されました。

現在有する在留資格の活動を満了した者、または自己都合ではなく在留資格の活動を満了せずに滞在を希望する者

これまでの取り扱い
  • 特定活動(1年・就労可) への変更が原則として認められていました。
    • 例えば、技能実習を修了した場合や、教育機関を卒業した場合、または自己都合ではない理由(会社の都合や不測の事態で実習が継続できない場合など)で実習が完了しなかった場合でも、特定活動への変更が許可されました。
今後の取り扱い
  • 特定活動(1年・就労可) への変更は一部制限が設けられます。
    • 技能実習を修了していない場合でも、実習の継続が不可能となった理由が自己の責任ではないと判断され、かつ監理団体が実習先の変更に必要な措置を講じたものの新たな実習先が見つからない場合に限り、特定活動(1年・就労可)への変更が認められます。
    • ただし、自己都合で実習を中断した場合(以下②参照)や、新たな実習先が確保されている場合には、原則として特定活動への変更は認められません。

自己都合で在留資格の活動を満了せずに滞在を希望する者

これまでの取り扱い
  • 特定活動(6か月・週28時間以内の就労可) への変更が許可されました。
    • 自己都合で在留資格の活動(例:技能実習など)を満了せずに日本での滞在を希望する場合、特定活動(6か月・週28時間以内の就労可)の資格に変更できました。
    • この特定活動資格を1年間、違反なく適正に保持していれば、特定活動(1年・就労可) への変更が認められる場合もありました。
今後の取り扱い
  • 原則、特定活動(6か月・週28時間以内の就労可) への変更が引き続き認められます。
    • この資格を1年間、違反なく保持している場合、特定活動(1年・就労可)への変更が認められる可能性があります。
    • ただし、技能実習を修了しておらず、なおかつ在留期間が残っている者については、特定活動への変更は認められません

参考

出入国在留管理庁ウェブサイトより(URL:https://www.moj.go.jp/isa/content/001349360.pdf)

在留資格認定証明書交付申請等に必要な郵便料金について(10月1日から変わります)

2024年10月1日(火)より、日本郵便の郵便料金が一部変更されます。これに伴い、在留資格認定証明書交付申請や申請等取次の承認の申出に関わる手続きで使用する返信用封筒には、変更後の郵便料金に対応した切手を貼付する必要があります。
変更後の料金に対応していない場合、手続きに遅れが生じる可能性があります。くれぐれもご注意ください。

変更後の郵便料金

種類重量9月30日までの料金10月1日からの料金
定形郵便+簡易書留25g以内84円+350円 = 434円110円+350円 = 460円
50g以内94円+350円 = 444円110円+350円 = 460円
レターパックプラス520円600円
レターパックライト370円430円

※速達料金も変更されていますので、速達を利用する際にはご確認ください。

郵便料金変更の影響

在留資格認定証明書交付申請時において、紙媒体での認定証明書の発行を希望する場合には、返信用封筒に簡易書留を使用する郵便料金分の切手を貼付しなければなりません。今回の郵便料金変更により25g以内の場合も50g以内の場合も460円分の切手を貼付する必要があります。旧料金の切手を貼付された返信用封筒は無効となる可能性があるため、必ず新料金に合わせてご準備ください。

今後の手続きが滞らないよう、料金の確認と準備を忘れずに!

工学部を卒業した外国人を自動車整備士として雇用することは可能か?

Q:当社は自動車整備事業を営んでおり、近年の人手不足を受けて外国人労働者の採用を検討しています。
工学部を卒業した外国人を自動車整備士として雇用することはできるのでしょうか?できるとすれば、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか?

A:

1. 「技術・人文知識・国際業務」在留資格で自動車整備士を雇用できる可能性

技術・人文知識・国際業務」という在留資格は、専門的な知識を活かすことのできる業務を対象とするものです。一方、自動車整備業務は現場作業を伴うため、原則、このような業務には従事できません。しかし、特定の条件を満たす場合には、自動車整備士の業務をこの在留資格で行える可能性があります。

2. 「技術・人文知識・国際業務」在留資格で許可される業務の条件

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で自動車整備士として働く場合、以下の条件を満たす必要があります。

  • 従事する業務が「サービスエンジニアとしてエンジンやブレーキ等の点検・整備・分解等の業務に従事するとともに、自動車検査員としての業務に従事する」ようなものであること。
  • 2級自動車整備士資格を有していること。なお、入国管理局は、2級自動車整備士資格を明確な要件として掲げてはいませんが、上記業務に従事するためにはこの資格が必要であるため、必然的に2級自動車整備士資格を取得していることが前提となります。
  • 一方、2級自動車整備士資格を取得するためには、3級自動車整備士資格取得後に3年以上の(自動車整備士としての)実務経験を有しているか、日本国内の専門学校の自動車整備科を卒業していることが求められます。しかし、3級自動車整備士が従事できる業務は、オイルタイヤの交換といった簡単な点検業務などに限られる=「技術・人文知識・国際業務」の対象外となるため、実質的には更に日本国内の専門学校の自動車整備科を卒業していることが必須となってしまいます。

3. 他の選択肢としての在留資格

もし、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の要件を満たさない場合や、2級自動車整備士資格を持たない場合は、「特定技能」や「技能実習」といった他の在留資格を検討する必要があります。これらの在留資格は、自動車整備士としての現場作業に従事することを明確に許可しており、特に2級資格がない外国人にも道を開く可能性があります。

4. 他の選択肢としての業務

一方、以下は専門的な知識を活かすことのできる業務に該当するため、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で従事することが可能です。

  • 技術サポート:自動車の設計や技術的な支援を行う業務。
  • 品質管理:整備の品質を管理する業務。
  • エンジニアリング:自動車の新技術開発や部品の設計に関わる業務。

まとめ

工学部を卒業した外国人を自動車整備士として現場作業に従事させたい場合2級自動車整備士資格の取得が必要となります。入国管理局はこの資格を明確な要件とはしていないものの、エンジンやブレーキの整備・分解業務に従事するためには必須の資格です。したがって、「技術・人文知識・国際業務」在留資格で自動車整備士として働くためには、必然的に2級整備士資格が必要となります。

もし、これらの条件が整わない場合は、「特定技能」や「技能実習」在留資格の取得を検討するか、他の専門的な業務に従事してもらうことをお勧めします。

外国人労働者の雇用に関して具体的なケースや条件についてご不明な点があれば、ぜひ当社にご相談ください。

永住許可制度の適正化について

日本における永住許可は、多くの外国人が目指す在留資格の一つです。しかし、この制度において、一部の悪質な永住者が問題視されるケースが発生しています。R6年に決定された改正入管法では、永住許可制度の適正化を図り、適切に在留する大多数の永住者に対する不当な偏見を防ぐための措置が導入されます。

本記事では、その背景と具体的な内容について解説します。


1. 永住許可制度の趣旨

「永住者」の在留資格は、活動や在留期間に制限がないことが最大の特徴です。永住許可を受けるためには、以下のような一定の要件を満たす必要があります。

  • 素行が善良であること
  • 独立して生計を営むことができること
  • 日本国の利益に合致していること(10年以上の在留、公的義務の履行など)

しかし、永住許可を受けた後は在留審査(在留期間の更新など)が行われないため、許可時に満たしていた要件がその後満たされなくなるケースが見られます。これにより、悪質な永住者が引き続き日本に在留し続ける問題が生じています。

2. 適正化に向けた新たな措置

今回の改正では、在留状況が良好と評価できない(入管法上の義務違反、故意に公租公課の支払をしない、特定の刑罰法令に違反した)一部の永住者に対し、永住許可を取り消すか、他の在留資格へ変更するための措置が導入されます。これにより、適切に在留している大多数の永住者への不当な偏見が生じるのを防ぐことが狙いです。

具体的には、以下のような対応措置が設けられています。

3. 具体的な対応措置

  1. 永住者の在留資格のまま引き続き在留
    • 慎重な調査の結果、問題がないと判断された場合、従来通り永住者として在留を続けることが可能です。
  2. 他の在留資格(定住者など)への変更
    • 調査の結果、取消事由に該当する場合と判断された場合であっても、対象者が引き続き日本に在留することが適当でないと認める場合を除き、法務大臣の職権により、永住資格から定住者など他の在留資格への変更が許可されるとされています。
  3. 永住許可の取消し
    • 上記の要件を満たさない場合で、引き続き日本に在留することが適当でないと判断された場合、永住許可が取り消されます。ただし、取消し後も再度永住許可を受けることが可能な場合もあります。
      ※引き続き日本に在留することが適当でない場合とは、例えば、今後も公租公課の支払をする意思がないことが明らかな場合や犯罪傾向が進んでいる場合等が該当します。

4. 永住許可制度の適正化が目指すもの

今回の制度適正化は、法を遵守し、社会に貢献する大多数の永住者を保護するためのものであり、一部の悪質な永住者による不正行為がもたらす不当な偏見を防ぐことが目的です。


結論

永住許可制度の適正化により、日本社会における公平性と安全性がさらに強化されることが期待されます。永住者として日本での生活を送る皆様は、法を遵守し、社会に貢献する姿勢を維持し続けることが重要です。制度変更に伴う詳細な手続きについては、出入国在留管理庁や市町村窓口で最新の情報を確認し、適切に対応するよう心掛けましょう。

R6年入管法改正概要:マイナンバーカードと在留カードの一体化について

2024年(令和6年)に成立した入管法の改正により、マイナンバーカードと在留カードとが一体化されることになりました。
本記事では、その概要や背景、具体的な内容を紹介します。


1. 現状と課題

現在、日本に3か月以上滞在する外国人は「在留カード」が交付され、常時携帯する義務があります。同時に、外国人も住民登録されればマイナンバーカードの発行が可能です。

しかし、在留カードに関する手続きは地方入管(出入国在留管理局)で行われる一方で、マイナンバーカードに関する手続きは市町村窓口で行われています。これにより、例えば在留期間の更新などの際に、外国人はそれぞれの窓口に赴く必要があり、手続きの複雑さが課題となっていました。

2. マイナンバーカードと在留カードの一体化

今回の法改正により、外国人の日本での生活の利便性を向上させ、共生社会の実現を目指すため、マイナンバーカードと在留カードを一体化することとなりました。これにより、外国人は市町村窓口や地方入管での手続きを一度で済ませることができるようになります。

なお、一体化は義務ではなく、希望する場合にのみ適用されます。これにより、従来のカードを別々に所持し続けることも可能です。

3. 一体化カードの具体的な運用

特定在留カードと呼ばれる一体化されたカードは、地方入管における在留手続き(在留期間更新など)や、市町村窓口における住居地届出の際にワンストップで申請・交付が受けられるようになります。特別永住者についても、特別永住者証明書とマイナンバーカードを一体化することが可能ですが、これらの手続きは引き続き市町村窓口で行われます。

4. 券面と有効期間について

特定在留カードの券面には、即時に視認が必要な項目が記載され、その他の情報はICチップに記録されます。また、永住者の在留カードの有効期間が、マイナンバーカードと同様に変更される予定です。

5. 新しいカード発行までの手続き

改正法の施行後、外国人は在留カードの更新や住居地の変更時に、一体化された特定在留カードの交付を申請できます。これにより、手続きの簡略化が図られ、利便性が大幅に向上します。


結論

今回のR6年入管法改正により、マイナンバーカードと在留カードの一体化が進められることで、外国人の生活がより便利になることが期待されます。外国人労働者や留学生にとって、煩雑な手続きが簡略化される点が大きな利点です。共生社会の実現に向けた一歩として、外国人の日本での生活環境がさらに改善されることが期待されます。

改正法施行後の対応については、地方入管や市町村窓口での詳細な説明を確認し、適切な手続きを進めてください。


  • 入管法改正に伴う新制度に関して、最新の情報は出入国在留管理庁や市町村の窓口で確認できます。
  • 特定在留カードの詳細な発行手続きや要件に関する説明は、各自治体のホームページでも公開予定です。

この記事が、外国人の皆様にとって今後の手続きの参考となれば幸いです。

東京出入国在留管理局千葉出張所が移転します

2024年9月24日(火)9時から、東京出入国在留管理局千葉出張所が移転します。

移転元:千葉県千葉市中央区千葉港2-1 千葉中央コミュニティセンター
移転先:千葉県千葉市中央区問屋町1-35 千葉ポートサイドタワー3階

アクセスJR「千葉みなと駅」から徒歩20分
JR「千葉駅」・京成電鉄「千葉駅」から徒歩18分
千葉都市モノレール「市役所前駅」から徒歩10分

詳細は、こちらをご参照ください。

外国籍の学生をインターンシップで受け入れたい場合の留意点

Q:今年度から学生をインターンシップで受入れたいと考えています。外国籍の学生も積極的に受け入れたいのですが、何か注意することはありますか?

A:「日本の留学生を受け入れる場合」と「海外在住の学生を受け入れる場合」とで、必要な手続きが大きく異なります。さらに、インターンシップに報酬がでるか否かによっても、受け入れられる対象者と必要な手続きが変わってきます。

1.日本の留学生を受け入れる場合
(1)無報酬のインターンシップの場合
 無報酬であれば、特段の手続きは不要です。そのままインターンシップに参加いただけます。

(2)報酬を出すインターンシップの場合
ケース1:
 インターンシップに従事する時間が週28時間以内(長期休暇期間の場合は、1日8時間以内)の場合は、事前に地方出入国在留管理局で「包括的資格外活動許可」を受ける必要があります。なお、既にこの資格外活動許可をお持ちの留学生をインターンシップに従事させる場合には、特段の手続きは不要です。
※包括的資格外活動許可とは、いわゆるアルバイトに対する資格外活動許可のことです。アルバイト先を限定せずの従事が可能です(但し、風俗営業等に関する活動はNG)。

ケース2:
 長期休暇期間以外で、インターンシップに従事する時間が週28時間を超える場合、事前に地方出入国在留管理局で「個別的資格外活動許可」を受ける必要があります。なお、包括的資格外活動許可を既にお持ちの留学生であっても、これとは別に個別的資格外活動許可を受ける必要があります
※個別的資格外活動許可とは、従事先、従事内容に合わせて個別に認められる資格外活動です。

2.海外在住の留学生を受け入れる場合
(1)無報酬のインターンシップの場合
 インターンシップ期間が90日以内の場合は、在留資格「短期滞在」で来日およびインターンシップに従事いただくことになります。
 一方、インターンシップ期間が90日を超える場合は、在留資格「文化活動」で来日およびインターンシップに従事いただくことになります。「文化活動」で対象者を招聘するために必要な書類については、こちらを併せてご参照ください。

(2)報酬を伴うインターンシップの場合
①在留資格「特定活動(告示9号)」(インターンシップ)
 学業等の一環として行う(インターンシップが大学等の単位認定対象となる)インターンシップの場合、在留資格「特定活動(告示9号)」での招聘が可能です。この在留資格で対象者を招聘したい場合、大学等との契約や、大学からの推薦状等の取得が必要になります。詳しい必要な書類については、こちらを併せてご参照ください。

②在留資格「特定活動(告示12号)(サマージョブ)
 大学等の長期休暇期間中に行うインターンシップの場合、在留資格「特定活動(告示12号)」での招聘が可能です。ただし、この在留資格で対象者を招聘したい場合も、大学等との契約締結が必要になります。詳しい必要な書類については、こちらを併せてご参照ください。※単位認定の対象でなくとも大丈夫です。

③在留資格「特定活動(告示15号)」(国際文化交流)
 大学等の長期休暇期間中に行うインターンシップであって、国際文化交流(日本の地方公共団体が実施する国際文化交流事業に参加し、日本の小中学校等において国際文化交流に係る講義を行う活動)を行う場合には、在留資格「特定活動(告示15号)」での招聘が可能です。この在留資格で対象者を招聘したい場合は、対象者と受け入れ機関との間で契約を締結する必要があります。詳しい必要な書類については、こちらを併せてご参照ください。
※単位認定の対象でなくとも大丈夫です。

報酬を伴うインターンシップの場合は、所定の要件を満たさないと、日本に招聘することができません。これらが実現が可能かどうかを事前にしっかりとご確認ください。

育成就労制度・特定技能制度Q&Aが公表されました

出入国在留管理庁のウェブサイトに「育成就労制度・特定技能制度Q&A」が掲載されました。本記事は、Q&Aの概要を紹介します。

Q1: 法改正の目的

今回の法改正は、技能実習制度の問題点を解決し、外国人がキャリアアップしながら長期にわたり日本で働けるようにするため、育成就労制度を創設したものです。

Q2: 制度の施行時期

育成就労制度と特定技能制度の改正は、改正法の公布日(令和6年6月21日)から3年以内に施行されることになりますが、具体的な施行日は未定です。

Q3: 主務省令の公表時期

育成就労制度に関する主務省令の公表時期は未定ですが、制度利用者が円滑に利用できるように準備が進められています。

Q4: 現行技能実習生の継続受け入れ

育成就労産業分野として設定されている分野であれば、育成就労制度に移行しても受け入れは継続可能です。
施行日に日本に在留する技能実習生については、一定の範囲内で引き続き技能実習を行うことができます。

Q5: 受け入れ形態の変更

育成就労制度では、技能実習制度と同様に、単独型と監理型の受け入れ形態がありますが、受け入れられる外国人の範囲に違いがあります。

Q6: 外国子会社からの受け入れ

外国の支店や子会社の社員の短期間の受け入れは「企業内転勤2号」で、長期的な人材育成は「単独型育成就労」で受け入れが可能です。

Q7: 技能実習生の受け入れ期限

改正法施行日までに認定された技能実習計画に基づくものであり、原則として施行日から起算して3か月を経過するまでに技能実習を開始するものであれば受入可能です。

Q8: 育成就労制度の特徴

育成就労制度は、日本の人手不足分野における人材育成と人材確保を目的としており、技能実習制度とは異なります。

Q9: 特定技能制度との違い

特定技能制度は即戦力となる人材を対象としているのに対し、育成就労制度は専門性がない外国人を受け入れて育成する制度です。

Q10: 育成就労制度の就労期間

育成就労制度では、原則3年間の就労を通じて人材育成が行われますが、特定技能1号への移行に失敗した場合、最長1年の在留継続が認められることがあります。

Q11: 育成就労産業分野の決定時期

育成就労制度の受け入れ対象分野は、施行日までに決定される予定であり、その手続きは所管省庁が検討中です。

Q12: 外国人受け入れ対象国

育成就労制度では、二国間取決めを結んだ国からのみ外国人を受け入れることが想定されています。

Q13: 手続きの基本的な流れ

育成就労制度の認定手続きは技能実習制度と似ていますが、育成就労制度では当初から3年間の計画を作成する必要があります。

Q14: 複数分野での就労

育成就労制度では、一貫性を保つために、複数の分野をまたいで働くことはできません。

Q15: 派遣形態での就労

派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成し、その認定を受けることで、派遣の形態で育成就労を実施することができます。

Q16: 監理支援機関の役割

育成就労制度では、監理支援機関が外国人の支援・保護を強化し、転籍希望者の調整役を担うことになります。

Q17: 監理支援機関の許可申請

育成就労制度の施行前に、監理支援機関の許可申請が受け付けられる予定ですが、具体的な開始日は未定です。

Q18: 監理団体の役割の継続

監理団体は、新たに監理支援機関の許可を受ける必要がありますが、許可を受ければ役割を継続できます。

Q19: 優良要件の維持

育成就労制度では、優良な監理支援機関に対して手続きの簡素化などの優遇措置が設けられる予定です。

Q20: 施行日後の技能実習生受け入れ

施行日後も技能実習生の受け入れを継続する場合、監理団体の許可の更新が必要です。ただし、育成就労制度の監理支援機関の許可を受けている場合には、技能実習制度における一般監理事業に係る許可を受けたものとみなされますので、別途監理団体の許可の有効期間を更新する必要はありません。

Q21: 受入れ機関の優良要件

育成就労制度でも、受入れ機関に対して手続きの簡素化などの優遇措置が設けられる予定です。

Q22: 受入れ機関の要件

育成就労制度では、技能実習制度と同様の要件が適用されますが、特定技能制度との連続性を持たせるための新たな要件も設けられます。

Q23: 転籍要件

育成就労制度では、人権侵害があった場合や、一定の条件を満たせば、本人の意向による転籍が認められます。

Q24: 家族の帯同

育成就労制度では、原則として家族の帯同は認められていません。

Q25: 入国時の要件

入国時には、技能に関する要件はないものの、日本語能力試験N5相当以上の日本語能力が求められます。

Q26: 元技能実習生の再来日

過去に技能実習を行った外国人が再度来日して育成就労制度で働くことは原則的にできませんが、特定の条件を満たす場合は可能です。

Q27: 既存の技能実習生の扱い

施行日までに既に来日している技能実習生は、引き続き技能実習を継続することが可能です。

Q28: 特定技能制度の変更点

改正法により、特定技能1号の支援業務は登録支援機関に限定され、支援義務が厳格化されました。

Q29: 支援業務の委託先変更

改正法施行後は、特定技能1号の支援業務を登録支援機関に委託する必要があります。経過措置として、施行時に既存の支援委託は一時的に継続可能です。

Q30: 特定技能1号への移行要件

育成就労から特定技能1号へ移行する際は、技能や日本語能力試験に合格する必要があります。

Q31: 育成就労からの特定技能1号への移行

育成就労制度の途中で特定技能1号に移行するには、技能や日本語能力試験に合格し、一定の就労期間を満たす必要があります。

在留資格「家族滞在」から日本で就職希望の高校卒業生向け: 定住者と特定活動の在留資格ルートとは?

Q: 来年春に高校を卒業する外国人です。今は家族と一緒に日本に滞在しています。
現在保有している在留資格は「家族滞在」で、高校卒業後は日本の企業に就職したいと考えています。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の許可を得るためには、大学を卒業している必要があると聞きましたが、私も大学を卒業しないと日本で働くことはできないのでしょうか?

A: 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するためには、通常、大学卒業以上の学歴が必要とされています。しかし、在留資格「家族滞在」で来日・滞在している外国籍の方は、所定の要件を満たせば、大学を卒業していなくても日本で働くことができます。

1.「家族滞在」から「定住者」への在留資格変更:

  • 高校を卒業しており、さらに次の条件を満たす場合、「定住者」の在留資格に変更できる可能性があります。
    • 日本で出生した、または小学生までに来日した。
    • 日本で義務教育(小学校・中学校)を修了している。
    • 日本の高校を卒業している、または高校卒業見込みである。
    • 入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格で日本に在留している。
    • 就職先が決定している。
    • 住居地の届出等、公的義務を履行している。

2.「特定活動」への在留資格変更:

  • また、「特定活動」の在留資格に変更することも可能です。この資格も就労が可能で、以下の条件を満たす必要があります。
    • 日本の高校を卒業している、または高校卒業見込みである。
      ※編入者の場合、日本語能力試験N2程度の日本語能力を有していることが必要。
    • 扶養者が身元保証人として日本に在留している。
    • 入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格で日本に在留している。
    • 入国時に18歳未満であった。
    • 就職先が決定している。
    • 住居地の届出等、公的義務を履行している。

また、「特定活動」への変更後、5年以上継続して日本に滞在している方は、所定の要件を満たしていれば、「特定活動」から「定住者」に在留資格を変更できます。ただし、申請人自身に独立生計維持能力が認められることが必要です。

(出典:出入国在留管理庁ウェブサイト https://www.moj.go.jp/isa/content/930003573.pdf

このように、大学を卒業していなくても、条件を満たせば「定住者」や「特定活動」の在留資格に変更することで、日本で働くことが可能です。まずは、ご自身の状況に合った在留資格の変更を検討し、必要な手続きを進めてください。