今回は、在留期間が満了した外国人の預貯金口座からの現金出金および他口座への振込に関する最新の対応について、警察庁からの事務連絡(令和6年12月24日付)をもとに、わかりやすく解説します。
📌 背景:特殊詐欺に悪用される外国人名義口座
令和6年11月末時点で、特殊詐欺・SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の被害総額は1,700億円を超える深刻な状況となっています。特に問題視されているのが、帰国予定または帰国済みの外国人から不正に譲渡された口座が、犯罪に利用されているケースです。
犯罪グループが、当該外国人になりすまして預貯金口座から現金を引き出したり、他口座へ振込を行ったりする手口が増加しています。
⚖️ 法的整理:「なりすましの疑い」とは?
犯罪収益移転防止法では、以下のように定められています。
- 顧客になりすましている疑いがある場合は、厳格な取引時確認が必要(第4条第2項)
- 本人確認に応じない場合は、取引拒否が可能(第5条)
在留期間が定められた外国人顧客については、在留期間満了後は原則として日本にいないとみなされます。
したがって、満了日を過ぎてからの出金・振込には、「なりすまし」の疑いが生じる可能性があります。
✅ 例外:「特段の事情」とは?
以下のような事情が確認された場合は、「なりすましの疑い」には当たりません。
- 在留期間更新や在留資格変更が許可されている場合
- 満了日前に申請を行い、引き続き合法的に在留中である場合
※たとえ在留カードの記載上では在留期間が満了していても、満了日前に更新申請を行っていれば、特例期間中であれば合法的に日本に在留できます。
👤 日本に滞在する外国人の皆さまへ:口座凍結を防ぐために
外国人の方で在留期間を更新・変更した場合や、現在申請中である場合は、必ずその旨を金融機関に届け出てください。
- 新しい在留カード
- 出入国在留管理庁からの受付確認メールなど
これらの書類を提示することで、口座凍結や誤解による取引停止を防ぐことができます。
📞 最後に
この取り組みは、犯罪グループによる外国人名義口座の悪用を防ぐための重要な施策です。
外国人の皆さまや外国人を雇用されている企業の皆様さまに置かれましては、趣旨をご理解のうえ、正しい対応をお願いいたします。
当事務所では、外国人の在留手続きの相談も承っております。お気軽にご相談ください。