ビザジャーナル

2025-07-31

永住許可のポイントをかんたん解説──「永住許可に関するガイドライン」より


外国人社員の定着支援として「永住許可」は重要なゴールですが、要件や特例は複雑です。ここでは、法務省入管の最新版ガイドラインをもとに、「絶対に押さえるべき要件」と「要件短縮の特例」を正確にまとめました。

まず押さえるべき“法定要件”(原則ルート)

  1. 素行が善良であること
    違法行為や公序良俗に反する行動がなく、住民として社会的に非難される問題を起こしていない。
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
    ・公的扶助に頼らず、雇用収入や事業収入等で将来にわたって安定した生活が見込める。
    ・資産や技能の裏付けとして、給与明細・預金残高証明・資格証明などを用意。
  3. 日本国の利益に合すると認められること
    • 在留期間要件
      • 通算10年以上日本に在留
      • そのうち「就労資格(※技能実習・特定技能1号を除く)または居住資格」で通算5年以上在留
    • 公的義務の履行
      • 納税、公的年金・医療保険料の支払い、入管法上の届出義務等を適正に履行
      • 申請時に支払い済みでも、過去の未履行があるとマイナス評価に
    • 在留資格の最長期間で在留
      • 現在の在留資格がガイドライン別表第2の「最長在留期間」で更新されていること
    • 公衆衛生上の問題がないこと
      • 感染症等、公衆衛生を害する恐れがない

要件短縮が可能な“特例ルート”

以下のいずれか(例)に該当すると、原則の在留期間が短縮され得ます。

特例ケース必要な在留期間備考
日本人・永住者・特別永住者の配偶者・実子等※①婚姻実体3年以上+在留1年以上(素行・生計要件の一部免除あり)
定住者継続5年以上在留
難民認定・補完的保護対象者認定後5年以上在留(生計要件の免除あり)
外交・社会・経済・文化分野での顕著な貢献者継続5年以上在留「貢献」ガイドライン参照
地域再生法認定事業機関の従事者継続3年以上在留指定地域での公私機関活動実績が条件
高度専門職(ポイント制70点以上)継続3年以上在留在留中に要件を維持
高度専門職(ポイント制80点以上)継続1年以上在留在留中に要件を維持
特別高度人材継続1年以上在留「特別高度人材省令」基準を満たす者

※① 配偶者・実子等は、素行要件・生計要件の一部が免除される場合があります。


“技能実習”“特定技能1号”はカウント外

  • 技能実習・特定技能1号は「就労資格5年以上」の計算から除外されます。
  • これらの期間だけで永住要件を満たすことはできないことに留意しましょう。

人事担当者として押さえるべきポイント

  1. 在留資格の見える化・管理
    • 社内システムで在留資格・期限を一元管理し、更新漏れを防止。
  2. 高度専門職ポイント取得サポート(従業員が希望する場合)
    • 学歴・職歴・年収・論文・特許などでポイントを計算。
    • ポイント不足箇所を補う研修や実績作りを支援。
  3. 公的義務フォロー体制の強化
    • 給与計算・年末調整・社会保険手続きの正確性を担保し、未納リスクを回避。
    • 納税証明書・年金加入記録の取得支援。

まとめ

永住許可は外国人社員の「長期定着」と「組織への貢献」を後押しする大きな契機です。
ガイドラインを正確に理解し、在留資格の設計・公的義務フォロー・ポイント制対策などを一気通貫でサポートすることで、両者にとってメリットのあるキャリアパスを描けます。ぜひ本記事を参考に、社内制度や支援体制を見直してみてください。