ビザジャーナル
2025-05-15
オンラインによる在留手続アンケート結果から見る利用者の評価と改善点

2025年2月、出入国在留管理庁はR6年度の「オンラインによる在留手続に関するアンケート調査結果」(PDF)を公表しました。このアンケート結果をもとに、利用者がどこにメリットを感じ、どこに改善の余地があると考えているのかを解説します。
利用者が感じている主なメリット
アンケート結果から、利用者がオンライン申請に特にメリットを感じているポイントは以下の通りです。
1. 窓口に出向く必要がない
- 複数人分の申請をまとめて行う監理団体や教育機関、企業などにとって、物理的な移動や待ち時間が不要な点は大きな利点のようです。
- 留学生や技能実習生を多く受け入れる機関では、オンライン申請の活用が進んでいるようです。
2. 申請結果を郵送で受け取れる
- オンライン申請後、結果通知だけではなく在留カード等の受け取りを郵送で完結できるため、企業などにおいて手続き全体の効率化につながっているようです。
3. 24時間申請が可能
- 時間や曜日に縛られず申請できるので、多忙な企業担当者や個人にも便利と考えられています。
4. 書類の提出が簡素化される場合がある
- オンライン申請時は、一部書類の提出が省略できるケースもあり、手続きの負担軽減につながっています。
利用者が感じている主な課題・改善要望
一方で、アンケートでは多くの改善要望も寄せられています。主な課題は以下の通りです。
1. 申請方法が分かりづらい
- 「利用方法がよくわからない」が利用しない理由のトップ(27.4%)。
- システムの操作方法や必要書類の案内が分かりにくいと感じる人が多いです。
2. 添付書類や申請項目の多さ
- 「申請項目・添付書類の削減」(13.7%)、「複数ファイルの添付を可能に」(12.3%)といった声が多く、書類準備やアップロードの負担が指摘されています。
3. 電子納付に未対応
- 「手数料の電子納付導入」(10.3%)も大きな要望の1つです。現在は収入印紙での支払いが必要なため、完全なオンライン化が実現していません。
4. 認証IDの有効期間が短い
- 所属機関等の職員が利用する認証IDの有効期間が1年と短く、「有効期間の延長」(10.0%)が求められています。
5. サイトやQ&Aの情報が分かりにくい
- 「HPや利用案内・Q&Aの充実・簡潔明瞭化」(8.7%)が要望されています。
6. システムの操作性・利便性
- 「システムが操作しにくい」(6.6%)、「窓口で職員に相談できる方が安心」(7.9%)という声もあり、オンラインならではの不安や使いにくさが課題です。
今後の改善に向けた対応
アンケートを受け、出入国在留管理庁では次のような改善策を検討・実施しています。
- 申請項目の簡素化、添付書類の削減
- 複数ファイル添付のシステム対応
- 電子納付の導入検討
- 認証IDの有効期間延長
- HPや案内・Q&Aの見直し・充実
まとめ
オンライン在留申請は、「窓口に行かずに済む」「効率的」「24時間対応」など多くのメリットが評価されています。一方で、「操作方法の分かりにくさ」「書類準備の負担」「電子納付未対応」「サポート情報の不足」といった課題も明らかになりました。
今後は、これらの改善要望をもとに、より使いやすく、利用者本位のシステムへの進化が期待されます。